よかろうもんブログ

クラウドソーシングはフリーランスを生かすのか、殺すのか。

   

最近よく聞く「クラウドソーシング」というサービス。
本来の意味合い・定義とはかけ離れ、
何かもやもやするサービスにしか見えないのは私だけでしょうか。

特に違和感が強かったのは「ロゴ作成」の依頼。

「こういうコンセプトのサイトで、主な顧客層は○○代で、
こんな感じのフォントで、こういう文字を入れてください」
この程度の依頼内容で提案を募り、
最終的にクライアントが選んだものにのみ20,000程度のギャラが支払われるようです。

まず、個人的にこういう「コンペ形式」が嫌い。
デザイナーの方々が提案しているロゴ、
あれはほぼ納品できる段階まで出来ているんじゃないですか?
選ばれずにギャラが出ない、というのはまあ仕方ないにしても(どうかとは思いますが)
アイディアだけを取られてしまうようで、どうにもこうにも気分が悪いです。
サイト上で公開されているから、第三者からも見られてしまうわけで
「今回受注できなかったとしても、それが今後に向けての「営業ツール」となるよ」
という謳い文句なのかもしれませんが、なるわけねえだろそんなの。

 

それより私が疑問に思ったのは「ロゴの作成」のみを切り離した仕事が成り立つのか?ということです。
ロゴマークというものがブランディングに欠かせない要素であることを踏まえますと
上に書いたような数行程度の依頼内容で、外部にロゴマークの作成のみを発注するなど
ちょっと考えにくいです。

まあここはまだいいです。よくないですが。
「ブランディング」などというものを意識する必要がないと考えている人たちにとっては
この程度でいいんでしょう。駄目ですが。

しかしこちらはどうでしょうか。

商標の調査は誰がやるんですか?

ということ。
作成するロゴマークは言うまでもなく、
他社の商標権を侵害しないものである必要があります。
ロゴデザインが確定した後に類似商標の調査を行うことはありえませんので
発注側は類似商標の調査などやらないものと思われます。
ではデザイナー(提案する側)がやるんですか?
類似商標の調査までやるとなると、弁理士などに依頼する必要がありますので
20,000程度のギャラでは請けられませんね。

よくよく考えてみますと、
ロゴの作成にあたり、商標の調査が必要であることを分かっている人が
この条件で仕事を請けることは少ないでしょうから
クラウドソーシングを使ってロゴの作成を請けようとしている人の大半は、
商標権というものを意識していないと考えられます。

つまり、発注側、受注側とも商標の調査をやらないということになります。
ギャラの安さから、双方とも商標権というものを意識していない可能性が高いです。
もう全員まとめて他社から訴えられてしまえ。

そう考えますと、クラウドソーシングでの「ロゴ作成」は発注側、受注側ともアウト。
だから、アレな感じの人などを見分けるのには使えるでしょう。

 

あと、これはクラウドソーシングというサービス全般に言えるのですが
ギャラが馬鹿みたいに安いです。
ナメてんのか、ってくらい安いものも山ほどあります。
ここで仕事を探しているフリーランスの方には
「ギャラは安くても実績になるから我慢」などとお思いかもしれませんが
ここで請ける仕事が、本当にその後の「実績」となるものであるか、
クラウドソーシングの外でも通用するものであるか、
内容、条件面等よく確認したほうがいいと思います。
ここを怠ると、いつまでもクラウドソーシングの外に出られない、
自分の単価が上がらない、ということになりかねませんよ。

最後に。
そういう考察もなしに、クラウドソーシングを
「新しい働き方が云々」などと言って持ち上げるだけの馬鹿は滅びてしまえ。

 - クラウドソーシング, 商標権, 雑文